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各地の麦酒巡りに御案内します

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出合と風景ビールの旅 / 西日本

◎西日本のクラフトビール

20年来続けているドイツのワインやビール巡りに比べ、国内出張は短期で、日中は自動車を運転するという事があって、国内の酒類に余り縁がありません。僅かながら国内地ビールについて語ってみたいと思います。


滋賀県

〇長浜浪漫ビール

長浜の運河に面し、蔵を改装した様な店内は仕込みタンクがあって、堂々とした古い梁も見えていますし、まさにロマンあふれ、和洋折衷といった感じです。
この日は長浜泊まり、長浜浪漫ビールを訪問しました。奥手が蔵造で漆喰風の壁に光量を抑えたレトロな照明の和風席。仕込みタンク近くの席は、色ガラスのライトが下がり明るめの洋風。
 

ビールはエール、IPA、ヴァイツェン、ピルスナー、スタウトの5種。レシピの改善や見直しもされていると思いますが、こちらのエールは本場並みのテイストと香りで、おすすめです。

グラスは150ml~550ml迄4種、量と予算を選べる設定。金曜日の17時以降は、半額の日もあるそうです。量はいらないが、数種試したい人にはありがたいと思います。

IPAを頼んで、食事ができるのを待ちました。此処のIPAは淡い濁りがあり、受け入れやすい味わいと感じました。強烈なIPAもありますが、個性が強すぎて飲んでもらえないのでは作る意味がないので、こうゆうIPAも賛成です。

近江和牛を使った焼きカレーでお腹を満たしてから、せっかくなので近江牛たたきも注文。次のビールは、伊吹ヴァイツェン。

此方は管理人が経験しているドイツ語圏の白ビールとは違います。例えるとベルリーンの名物ビールで、ベルリナーヴァイセのシロップを抜いたような感じ。香りよりやや酸が強く感じました。ドイツ語圏ではこんな感じのヴァイツェンもありますが、万人向けではないように思えます。
肉料理だけでしたので、最後は上々のピルスナーでさっぱりと締めくくり。和牛料理が利いて夕食としてはかなり予算オーばー。


京都府

〇町屋麦酒(京都市中京区)

マチヤといえば、東京の方なら荒川区かと思うかもしれません。これは東京の地ビールでなく京都市です。
このビールは洛中(京都市内)の名水から仕込まれるビール。現在京都府伏見に移転したキンシ正宗が所有する旧社屋、そこにこんこんと湧き出る桃の井の名水があります。

聴くところによれば、和食との相性にこだわったという事です。出会いは平成20年、この年から京都を訪問する機会が増え、偶然出会いました。ラベルを見ると、裏には非熱処理の記載があり、表ラベルの町屋麦酒の下にケルニッシュ・タイプ『Kölnisch-type】の表記を見つけました。

という事は上面発酵ビールという事になるけれど、店の人に尋ねると、やはり良くわからないという事でした。キンシ正宗と出ていたので直接問い合わせたところ、お答えは間違いなく上面発酵ビールであるとの事でした。





〇京都麦酒(京都市伏見区,黄桜酒造)

伏見は酒造会社の多い酒蔵の街。黄桜酒造では御当地ビール生産を始めました。京都麦酒の商標でドイツ風のアルト、ケルシュも有ります。伏見の名水で仕込まれたビールはどんなお味でしょう?
黄桜酒造に行けば、ビン売りは勿論、何種かはカウンターでいただく事が出来ます。訪問日カウンター呑みはアンバーエール、その前はケルシュとIPAでした。

ケルシュは西部ドイツのと比べると、イメージが重ならないビールでしたが、アルトは上々に感じました。

抹茶というアルコール9%の挑戦的な物も新発売。地ビールとしてはリーズナブルな価格帯です。







〇家守堂麦酒(京都市伏見区)

2019年秋、伏見に来ると立ち寄っていた番茶屋さんが、何と仕込タンクのあるマイクロブルワリーに変身していました。番茶の商いもしているそうですが、店内は完全に町屋を活かした地ビールパブ。是は嬉しい誤算です。聞けば、6月から営業しているとの事でした。

京阪電鉄『中書島』『伏見桃山』、近鉄電車『桃山御陵前』から徒歩10分程、京都や奈良方面に帰宅する顧客層も取り込めそうな立地。一般居酒屋の方がビール自体はリーズナブルでも、その殆どは濾過した下面発酵ラガーですから、個性的なビールを味わいたい管理人なら通ってしまいそうです。


伏見の軟水で仕込まれるビールは、季節で変わる物やレギュラーの物もある様です。男性カナダ人スタッフが、夏にドイツのブルワリーを初めて回ったとの話で、何処が興味深かったか尋ねると『バンベルク』との答え。フランケンは個性的なビールが多いから楽しかったそうで、バンベルクのマイクロブルワリーが一番印象良かったとの話。

たまたまそれは20年来通っている店だったので、その話ですっかり盛り上り、ビール談義が弾みました。おつまみは日替、坂本龍馬が好きだったシャモ肉が有ったので、その他には京風の物を何点かいただきました。





中国地方

〇くめざくら 大山ブルワリー(鳥取県西伯郡伯耆町)

大山は中国地方の最高峰1729m、伯耆富士との別名。米子方面からは日本海へ裾野を広げた姿が見られます。その大山の中腹にあるのがクメザクラ大山ブルワリー。鳥取産大麦使用ビールは季節限定、大山の清涼な水で仕込まれ、輸入原料オンリーのブルワリーが多い中で、一部自家栽培のホップも使用しているというから、頑張っている所の一つです。
濃色ビールは、下面発酵でも国内規定でスタウトと名乗っても良いらしいのですが、それは『なんちゃってスタウト』、此方のはちゃんと上面発酵。高アルコールのインペリアルスタウト(Alc9%)は限定生産という事です。御土産に鳥取県産大麦仕込は無かったので、ペール・エール、インペリアル・スタウト、ヴァイツェンの三種を持ち帰り。この3本ではスタウトが一番嗜好に合いました。


週末は隣接するビアホフ・ガンバリウスで飲食が出来、期間限定で飲み放題もあり。近所に泊まるか公共交通で米子市内等に宿泊しないと是は難しい。地域民に限定されたメニューです。下面発酵濃




〇 山口鳴滝高原ブルワリー(山口地ビール)

山口市内から車で10分位の所に切り立った山が立ち並び、そこに鳴滝という名瀑があります。ミネラルを多く含んだこの銘水を使って仕込まれたのが山口地ビールです。
ドイツの純粋法に倣った製法で熱処理・濾過されておらず、風味・味わいは国内大手の物よりドイツのローカルビールに近いと感じました。





九州の地ビール


〇久住高原ビール(久住高原開発公社)
標高800mの高原にある12~3月休業、火曜日定休のブルワリー。久住の伏流水仕込だから、水質に恵まれています。


〇ひでじビール
延岡にある地ビール会社。日向の知人を訪ねた時にすすめられたローカルビール。九州山地の東、五ヶ瀬川水系の清涼な水を用いて地元産の大麦導入にも積極的に取り組んでいます。試したものは二種ですが、とても本格的なビールに感じました。
久住・阿蘇方面からは神話の故郷高千穂峡を抜け、お召列車のSLを展示した酒造会社を経由して山道を下ります。





霧島連山の東西に地ビールがあります。東側は、宮崎県都城市の霧島酒造で生産されている英国風レシピの霧島麦酒。西側は鹿児島県霧島市、チェコのピルゼニュ(ピルス)麦酒を意識した物です。



〇霧島ビール(霧島酒造)

霧島裂罅水といえば、この地域で知られた銘水で、本業焼酎の『黒霧島』『白霧島』といった主力商品も、この水が利用されています。ポリタンクを持った市民が水を求め、絶え間なく訪れます。この水は無料で、週末は込み合うそうです。
20年来続けているドイツのワインやビール巡りに比べ、国内出張は短期で、日中は自動車を運転するという事があって、国内の酒類に余り縁がありません。僅かながら国内地ビールについて語ってみたいと思います。



橘の日向夏を加えた発砲酒、製法は英国風という事で、英名の商品名です。ブロンドはゴールデンは苦みの薄い仕立て。ゴールデンは何故かピルスナー風だそうです。

スタウトは焙煎の強いイングリッシュ・エールのはずですが、こちらではラガーでスタウトを名乗っていました。以前の銘柄ゴールデンとブロンドは、英国風レシピの為か個人的に管理人にはピンとこない物でした。
2017年にラベルデザインを変更、アルコール度数も変わっている事からレシピの見直しもされたようです。

時元の柑橘でグレープフルーツの原種とされる日向夏を使った発泡酒は、何とも意見がが分かれる所です。柑橘を使った発泡酒と考えれば是も有り?



〇霧島高原ビール

最後は鹿児島県霧島市の地ビールです。元々麹製造会社で、酒造会社に販売する仕事をしています。韓国のマッコリも霧島酒造の焼酎もこちらの麹だそうです。
水は自社工場の地下水で、水質がチェコのプルゼニュと似ているそうです。従ってこちらのビールは、ラガーという事になります。



基本はローストの強いガーネットとボヘミアン・ブロンド、夏季のみケルシュ(エール)も生産するそうです。


チェコのピルスナービールは、もともとバイエルンの技術者が成功させたものなので、南ドイツの製法も似ているのでは感じます。


ピルスナーの系統ウルケルが、現在大手の傘下であることから量産型になっている可能性は否定できません。


ともかくこちらのビールは、中部ヨーロッパ風の味わいで、感心しました。