本文へスキップ

北部ドイツの麦酒巡りに御案内します

電話でのお問い合わせはTEL.042-563-8967

〒208-0013 東京都武蔵村山市大南3-134-15


出合と風景ビールの旅 /北部ドイツ

北部ドイツのハンザ都市

◎ハンザ都市Hamburg

ユートランド(Jütland)半島の付け根に位置するハンザ都市ハンブルクは、この町が単独の州で。シュレースヴィッヒ・ホルシュタイン州とニーダーザクセン州に挟まれています。スタインウェイの工場は町の北部にあります。

港に隣接した新しいハンブルクのランドマークは、水辺に浮かんで見える波をモチーフにしたエルプ・フィルハーモニー。ガラス張りの建物で、内外装とも近未来的独特なデザイン。

この辺り、以前は左程人出の多い地域ではありませんでした。完成後は人出も増えて最寄駅Baumwall下車客の多くはこのホール方面に流れます。天候が悪くなければ、この界隈ちょっとした賑わいです。


エルプフィルハーモニーはコンサートホールでもありますが、見学も出来ます。

 Gröninger Privatbrauerei Hamburg 営業:11~24時

エルプ・フィルハーモニーから運河沿いに10分程歩くと、左手にグレーニンガーというマイクロブルワリーがあります。此方の扉は施錠されているので、北側のWilly-Brandt-Straßeに入口があります。

店内は仕込みタンクがあり、天井が低くて港町のビールパブといった雰囲気が漂います。嬉しいのは、ドイツでは珍しく定休日がなく、11時以降24時迄営業時間なので、曜日を気にせず脚を運べる事です。昼時と18時以降は人が増えて、賑わってきます。

二人用テーブル、同大樽席、少人数カウンター、大人数用長テーブルがあり、食事も兼ねてビールを楽しむなら17時頃迄に行かれると、大樽の席も確保できる可能性があります。






◎ 小さなハンザ自由都市Stade

シュターデは小さな街で、ガイドブックにはさわり程度の記述しかない様な所ですが、ハンザ同盟創成期からのメンバーで、港町の役割は完全にハンブルクに受け渡したものの、中世の面影を残す静かな町です。


天然の良港であった為に、古くはヴァイキングの侵略があり、ドイツ領内の諸侯、スウェーデン領、デンマーク領と治世者の変遷があったそうです。

現在はハンブル都市圏、S-Bahnで60~90分程度、主要路線とはいえませんが、エルベ河口のクックスハーフェン間の地方路線。行政上はニーダーザクセン(州都ハノーファー)に属します。

この辺り、なだらかな丘状の地形で町の中は軽い上り下りがあります。管理人が興味深いと感じたのは道が微妙にうねりがあります

元の地形のまま、地面を平らにせず(或いは当時技術的にできなかった?)、 石を敷いている為ではないかと思いました。石自体も規格品ではないので余計波打って見えます。

理由は判りませんが近世の石畳とは随分違う状態です。特に雨模様の日で、坂の水が留まったり、流れが不規則に曲がっています。比較的新しい石畳も同様で、妙に納得しました。

Ratskeller Stade 営業:12~15時、17~22時(土日12~23時)

グラスは0.3L /0.5Lで、地ビールは3種、他にバイエルンの中堅醸造所Paulaner のWeizen von Fass 0.5Lや、北ドイツらしくフレンスブルクのノンアルコールビールもあります。


Blond(Stade Pils)/Rot/Schwarz(Dunkelbier)という地ビールが品書に記載されています。何れも下面発酵のビールとしては個性が出ていて、多分酵母を濾過していない為ではないかと思います。

日本市場で中心の濾過されたピルスナー(ラガー)ビールは、一般にキレが良いタイプで、辛口具合が強いかミディアムかといった程度が多いようで、甘味・アロマといった事は感じられないタイプと思います。

ラッツケラーの赤(Rot)ビールは酸味があり、如何にも発酵した麦のお酒といった感じは、昔からの伝統レシピによるのでしょうか?軽い酸味のあるビールは、小規模な無濾過ビールで体験することはあるので、この赤ビールが特殊という事でもありません。

シュヴァルツはエスプレッソの様な南ドイツの黒ビールとは違い、ドゥンケルビールといっていい物です。酸味はロートより少なく、甘味も感じてカラメル風味。少し後からピリピリと来ます。 この二種ともマイクロブルワリーならではの味わいです。

最後にいただいたのは、シュターデ・ピルス。苦みが前に出る濁り酒で、アサヒビールのような感じもありますが、同じラガー系(下面発酵)でも極僅か甘味も感じまるという物です。





ドイツ最北部ユートランド半島

◎ 北ドイツSchleswig-Horstein(シュレースヴィッヒ・ホルシュタイン)州の街、ドイツ最北部フレンスブルク

ユートランド(Jütland)半島の付け根に位置するハンブルクから北上するルートは、フレンスブルク方面とドイツでは数少ないオーシャンリゾートのヴェスターランド方面で、必ずキール運河を越えます。

日本からの旅行者にとって、北海とバルト海に挟まれたシュレースヴィッヒ・ホルシュタイン地域は、余り馴染みがない所ではと思います。でもホルシュタインはどこかで聞いたことがある響きですね。乳牛のホルシュタインは、オランダ北部からこの地域にかけて飼育されていた牛の品種です。

この旅の起点はハンブルク中央駅、鉄道で北に向かうとやがて全長約100Kmのキール運河を横切ります。雲が低く垂れこんだ北ドイツの天候では、雄大さをを感じることができないかもしれませんが、視界の利いた時はその雰囲気を味わうことができます。

このルートで走行する列車は、1911~1913年にかけて建設されたキール運河にかかるレンズブルク鉄橋を渡ります。
ハンブルクからは、円を描いて高度を上げていきます。

この地区のランドマークでもあり、ドイツ最長の鉄橋で歴史的産業遺産。1995年から電化路線になったそうですが、以前ディーゼル列車で、デンマークのオーデンセからドイツに向かう途中に初めて見た時、強烈な印象だった事を思い出されます。

鉄道ファンでなくとも『ほほー』と見入ってしまう見事な鉄橋です。


Flensburger Brauerei


デンマーク国境の町フレンスブルク。この町には愛飲家に知られたドイツ最北圏のビールというのがあり、スイングトップボトルは創業当時からのスタイルです。

写真のビールはフレンスブルガー・ブラウエライという家族経営の小規模ブルワリーの物。ここの代表銘柄でピルゼナーという商品です。

1842年にボヘミア地方のPilsen(独名)でドイツ人技師が、低温下面発酵のビールを成功させた事に由来。
通常Pilsとか、Pilsnerと表記されますが、この醸造所ではピルゼン風という事からかPilsener表記。

ユートランド沿岸の大麦で仕込まれ、ホップがかなり利いた辛口のビールで、苦味は強く感じます。この苦味はドイツ国内1、2を競うほどという事で、北部ドイツの代表的なローカルビールです。

苦みが強いというのも、ホップを利かせると日持ちするという事なので、もしかしたらインディア・ペール・エールの様に船便で遠隔地に出荷した頃の製法の名残かもしれません。

フンスブルガー・ブラウエライの青で帆船を描いたスウィングトップ栓は、嘗て船舶を利用し出荷されていた時代を想像させます。事実はともかく、この栓のデザインはいいなと感じます。

地元ならではの樽出ヴァイツェン。ドイツビール法では小麦を50%以上使わないとヴァイツェンと名乗れないそうです。
小麦ビールは南ドイツが多かったのですが、中北部も小麦ビール愛飲家が増えているようです。濁りがない濾過されているクリスタル・ヴァイツェンと呼ばれるタイプです。


ヴァイツェンはジャーマン・エール(上面発酵)ビール。味わいは、南ドイツとの中間という感じです。同社のピルゼナーと比較すると、蔵出で鮮度が良い為なのか、甘みも香りも強く感じます。


Hansens Brauerei Flensburg
営業:月~木11:30~24:00、金土~25:00、日~24:00


フレンスブルクには、良く知られたフレンスブルガー・ブラウエライの他フィヨルドに隣接した町の北側、桟橋近くに自家醸造のハンセンス・ブラウエライというマイクロブルワリーがあります。レストラン併設でシーフードや肉料理も提供しています。

エールもラガーも 0.2/0.4/1Lと、各種好みと耐久力に応じて楽しめます。 夏季週末は予約客が多く、この日仕込タンクの前は既に予約済み。北緯54度なので、夏季日が長い地域ですから、天気が良くても浜風は冷たく、外席なら上着は必要です。お客が入れ替わる時にお一人なら、席は確保できるかもしれません。月から木は午前1時迄営業。

メニューにはエールビールの表示が何故かありません。このエールビールは濁りがあってオレンジ色、麦はユートランド産。 目の前はフレンスブルガー・フィヨルドというロケーション。蔵出鮮度抜群となれば、料理が普通でも呑兵衛さんには天国です。



年に何度かは来るという、相席のデンマーク人に何が好きかときいてみると、彼の場合は先ずエール、次は黒、ピルスの順番という答えでした。
デンマークといえばカールスバーグが有名ですねと話すと、彼はカールスバーグは余り飲まないそうで、もっぱら国内のマイクロブルワリーのビールを愛飲しているそうです。その他色々なスカンジナビアのビール話が続きました。

デンマークやスウェーデン、ユートランドの常連客が多いというものの、一般には地方の知られていないマイクロブルワリーです。しかし、地理的にはこちらがドイツ最北のビール(?)
ビール好きで、5~9月にユトランド半島(北ドイツ・デンマーク)旅行の際は、立ち寄る価値ありです。



◎ 北海入り江の港町Husum

この一帯は14世紀末に、高潮で酷い洪水被害にみまわれたという事。湾岸地域は海の恩恵も受けられますが、そういったことは長い歴史の中では起こりえる事でしょう。

法律家で作家テオドール・シュトルム誕生の地。冬場は特に昼が短くどんよりした天候で、太陽が見えず雲が垂れ込むことが多い北ドイツ。シュトルムは『灰色の街』と形容したそうです。

こういった天候は、北海に面したフランドル地方以北は同様で、似たような感じでしょう。しかし風が吹いた翌日等、稀に晴れ間の日もあり、海側も奇麗に見えます。
フーズム港には上下する橋が架かっています。列車が通らない時に大きな船舶の出入りはされますが、そんな時は自動車も暫く通行止めになります。

マルクト広場に向かうと、フーズムのシンボルで若いフリース人女性の銅像(ティーネの噴水)があります。領主に支配されず、自由に海へ出て交易をした時代の象徴。
また中世は、フランドル地方や英国へ、ビール用のユートランド産大麦が輸出された記録も遺されています。大きな水害にみまわれた小さな町ですが、歴史的な建造物は30か所程残されているそうです。


ドイツ中南部ではあまりお目にかからないシーフードを提供するレストラン。食事を楽しむ訪問客の姿も見えます。レストランでのシーフード料理は様々、大抵は北海産のエビが添えられます。この沢山採れるエビは中小型で、芝エビやブラックタイガーの様な大きさはありません。

『おばちゃん』という1850年代創業のレストランに入りました。フィッシュスープ(約800円)は、パン付。大きな器で出てきました。具はゴロっとした鱈に北海のエビ、サーモン。フィッシュテラーは平目のグリル、これも種類の違う北海の小エビが添えられています。

さすがにデンマークに近いせいか、カールスバーグの樽出が飲物リストに出ていました。税制の関係でデンマークの飲食店よりは、400円弱と大分リーズナブル設定です。



Husums Brauhaus 営業:月~土17:00~24:00

シュトルム・センターから北側へ400m程、Neustadt 60 にマイクロブルワリーのフーズムス・ブラウハウスがあります。営業は17:00からで、一緒に食事をしてもいいですが、ビールを売りとする所なので、港周辺のレストランよりは一寸食事は少な目割高といった感じです。

コースターは洒落たデザインで、緑は社屋のイメージ。ブルーは南ユートランドのイラストです。曇りがちな天候を意図した雲と半分顔を出した太陽の左側は、ジュルト島。ヴァッテン海のあざらしにエビ、キール運河に架かるレンズブルク大橋等が描かれています。




レギュラー醸造はへレス、ドゥンケル、ベルンシュタイン、ヴァイツェン。その他ボック、季節のビールがあります。アルコールは4.8~6.0 %で、ボックビールはやや高めとの事です。

多種用意されているマイクロブルワリーでは、プローベという少しづつテイスティング出来る所があります。是ですと、ゆっくり飲むと温くなるという事はありますが、胃に負担なく楽しめるので管理人的にはよく利用します。今回は在庫が4種という事で、支払いは約750円。

へレスはミュンヒェン風のピルスナー、無濾過で濁っています。少々苦みがありますが、甘味もあるります。ドゥンケルは通常みる物よりやや淡い色合、カラメル風味有。ヴァイツェンは上面発酵のビールらしく、先ずほのかに甘い香りがします、少し濁りがありますが、ほぼクリスタルヴァイツェン風。季節のビールはピルスナー風で一番苦みがありました。



◎ 最北ドイツユートランド、エビとカニの話

別にKrabben(カニ)スープをパン無しで注文約750円。ビールより先に出てきたスープは、標準的ドイツの小振りなスープ用の器。お味はよろしいが???
カニのお味じゃぁない。スプーンですくってみるとエビ!! 独和辞典ではKrabbenはカニですが、所変われば何とやら、ユートランド等のドイツ最北部でいうKrabbenはエビの事。Nordseekrabbenという小海老を指します。

もし、日本だったらカニスープにエビが入っているとなれば、大変なクレームですが、私たちが食するカニ類が元々採れない地域なので・・・という理由もあり、エビとカニは同じ?!。



◎ 北部ドイツ、ちょっとアートなハンザ自由都市ブレーメン


ブレーメンはハンブルクと同様、交易で栄えた港を持つハンザ自由都市で、街自体が州という所。私達がブレーメンときいて思い浮かぶのは、グリム童話ブレーメンの音楽隊。世界遺産の市庁舎の脇にある地味な存在です。

ロバの足元や鼻先が光っているのは、多くの人が触れるためです。脚を握ったりさすったりして、何やらつぶやいているお客さんがいます。そうすると願い事がかなうとの事。何度かブレーメンを訪問できたのも、ありがたやロバ様のおかげかもしれません??

世界遺産の市庁舎やローランド像の近くに、かつて手工業者が住んでいたシュノーァ地区があります。 ブレーメン散策に童話のキャラクラクターと合わせて、ここの小さなカフェ・レストランに入ったり、玩具店、チョコテリア、お土産店等を見て廻るのも楽しい一時です。

写真は晴れの日が綺麗に見えます。しかし小雨の日、様々なー色合いになる石畳のシュノーァ地区界隈は、しっとりした別の佇まいを感じさせてくれます。


Beck's

ドイツで輸出量一番といわれているベックスは、ブレーメン市民の愛飲銘柄。米国工場もあります。元々北部ドイツの有力なブルワリーでしたが、現在はベルギーの巨人InBev傘下。ドイツで販売されるベックスはドイツビール法に則った製法という事です。大手量産系のラガービールは、あくまで喉越しすっきりタイプ。
ベックス運営の飲食店は幾つかあり、中でもシュノーア地区の店舗は
地域に溶け込んで良い雰囲気です。


SCHüTTiNGER Gasthausbrauerei 
営業:月~木12:00~1:00(金~3:00)/土11:00~3:00(日~22:00)

旧市内の一画に1990年創業のマイクロブルワリーのシュティンガー・ガストハウスブラウエレイがあります。一寸入口は怪しげで、緩いスロープを降りると地下酒場入口。店内は意外に広く、薄暗い店内には仕込窯が鎮座。カウンター席、4人掛けテーブルの他大人数用のテーブル席も有りました。

ドイツの飲食店では珍しく定休日が無いので、12:00からなら曜日を気にせず訪問出来ます。御得なランチタイムは17時迄。シュヌーア・フィアテル散策の前後に立ち寄るという手もあります。
ベックスの濾過した透明感のあるビールに対して、マイクロブルワリーならではの無濾過濁り酒。ヘールとレッドの二種を、0.4L・1L・1.5L・10Lの単位で提供。両者個性が有りますが、かといって左程癖のない造りですから、無濾過に慣れていない方にも受け入れられる仕上がりで、黒い木樽から注がれて運ばれます。

勿論食事も出来ます。管理人はソウルフードのカレーヴルストを注文。隣席のスペイン女性グループは、英語で何やら店員に注文をしているのですが、通じていないようで様で、困っていました。『骨の肉』といった説明に聞えましたので、是はシュヴァイネハクゼ(骨付の豚肉)の事だろうなと思って、携帯の写真を見せたところ、『This、This』という事で注文は終了。かなりボーリュムのある名物料理です。
お礼(?)にお裾分けしていただきました。






◎ 北部ドイツ、Hannover

ハノーファーは、北部ドイツ・旧ハノーファー国の帝都。現在はニーダーザクセン州都で、ブレーメンやベルリーン、フランクフルトやミュンヘン方面の分岐点という交通の要所で、国際企業のメッセ(見本市)が行われる所でもあります。

賑やかな旧市街方面の出口には、領主エルンスト・アウグストの像が鎮座します。日本でいえば越後の上杉謙信(景虎)や伊達政宗といたイメージかもしれません。
このハノーファー王エルンストの長男ゲオルク(ジョージ一世)は、後に英国王を兼任した為、現英国王室もハノーファー家の血筋という事になります。彼はしかしながら、生涯英語を話さなかったと聞いた事あります。ヨーロッパ王族の婚姻関係は本当に複雑です。




Brauhaus Ernst August 営業:月~金8~15時、土8~17時、日9~15時

ハノーファーには、領主エルンスト・アウグストに因んだマイクロブルワリーがあります。日本でいえば、新潟の清酒『越乃景虎』みたいな感じです。
創業者が縁者であったか、彼の信者であったかは不明です。

朝は8時から夜中迄営業、軽い食事から重い330gのステーキ迄、一人なら殆どいつでも行けるので、呑み助でなくてもありがたい所と云えます。ビールはピルスナーとヴァイツェンで0.4L ジャッキ。南ドイツ・フランケンよりはヴァイツェンも1.5倍程高め。

丁度昼時で朝食を採っていなかったので、200gのブラウハウスバーガーとピルスナーを注文。苦く切れの良いといった物でなく、やや濁りがあって甘い香りのピルスナー。



Brauhaus Ernst August Hannover